岩本拓郎展を見てきた。
力のある抽象絵は怖い。
そんなイメージを描いていた。
画面のイメージによって喚起される、またはされない妄想が自分自身
と向き合うことを強いる。その堪え難い孤独感が怖いのだ。
まして絵にタイトルもついていない。
完全に放っておかれるのだ。
それが、この展示の作品では、自分の思い描くイメージ(妄想?)か
ら絵がするりと逃げていき、そこにある美しい絵の具の物質があっけ
らかんと笑っているような、そんな経験をした。絵とコミュニケート
し共存している自分を発見することに。
怖さは吹き飛んだ。
これも作者の岩本さんの精神性が見ているものより深くおりて行っ
て、そこに到達する者を待っていて、やさしく微笑んでいるような
強さから来るのかもしれない。
岩本さんいわく、自分でも今日見た画面が明日には全然違って見え
る。そうだ。絵がその時その時の自分の心を反映するというわけだ。
久しぶりにいい抽象画に出会えた日だった。
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